内分泌疾患とは
体内では「ホルモン」という化学物質が作られており、様々な臓器が連携して生命や健康を維持できるよう働いています。このホルモンを産出する臓器には、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、膵臓などがあり、まとめて内分泌器官と呼ばれます。分泌されるホルモンの量が基準よりも多い、もしくは少ない場合、あるいは量が十分でもホルモンの作用が十分でない場合などでは様々な症状や疾患を引き起こします。このようにホルモンのバランスが崩れた状態を内分泌疾患と呼びます。
内分泌疾患の症状は全身にあらわれます。はっきりしない体調不良が続き、一般的な内科検査や人間ドッグなどでは異常を発見しにくいため、うつ病などの精神疾患、更年期障害、加齢、なまけなどと判断されて、つらい症状を我慢されている方もあります。また、甲状腺疾患は20~40代の女性に多いことが知られていますが、子供や高齢者、男性にも発症します。米田内科では、内分泌代謝科専門の医師が診療いたします。気になる症状のある方は、ぜひ一度ご受診ください。
内分泌疾患が疑われる主な症状
- 倦怠感や疲労感が続く
- 筋力が低下している
- 発汗が異常である
- 月経異常がある
- 体温が高い、あるいは低い
- 食欲の増加、あるいは低下がある
- 体重の増加、あるいは低下がある
- 顔つきに変化がみられる
- 皮膚に色素沈着や乾燥などがある など
主な内分泌疾患
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
- 甲状腺機能低下症(橋本病など)
- 甲状腺腫瘍
- クッシング症候群
- 副甲状腺機能低下症
- アルドステロン症
- 副甲状腺機能亢進症
- 先端巨大症
- 糖尿病 など
甲状腺疾患とは
甲状腺は喉のあたりにある臓器で、2つのタラコが蝶ネクタイのように並んだ形をしています。ここから分泌される甲状腺ホルモンは、全身の細胞の新陳代謝を促す働きをするほか、小児の骨や筋肉の成長、脳の発達にも影響を与えています。また交感神経を刺激し、発汗を調整するなどの機能を持ちます。
何らかの原因によって、甲状腺ホルモンのバランスが乱れると全身に様々な症状がみられるようになります。首元の腫れは特徴的な症状ですが、甲状腺は手で触れることが難しいため確認できない場合もあります。過剰に甲状腺ホルモンが分泌されていればバセドウ病などの甲状腺機能亢進症、分泌が不足しているのであれば橋本病などの甲状腺機能低下症と診断されます。これらの甲状腺機能障害の他に甲状腺腫瘍も主要な甲状腺疾患として知られています。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺ホルモンが過剰に分泌する疾患を総称して甲状腺機能亢進症といいます。その中でも最も発症頻度が高いとされているのがバセドウ病です。甲状腺を刺激するたんぱく質によって甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり、身体の新陳代謝が活発になりすぎる疾患です。甲状腺の腫れ、頻脈(動悸)、発汗、手の震え、下痢、たくさん食べていても体重が減るといった身体的な症状や、不眠や高揚感などの精神的な症状がみられるようになります。また、目の周りの脂肪組織や筋肉が肥大して眼球を押し出す「眼球突出」という症状があらわれることもあります。
血液検査で甲状腺ホルモンにかかわる数値を調べるなどして診断し、治療に際しては、定期的に検査で数値を確認しながら抗甲状腺薬を内服します。薬物療法で効果が得られない場合には、放射線療法や手術療法を検討する場合もあります。
甲状腺機能低下症(橋本病)
甲状腺ホルモンの分泌が低下する疾患を総称して甲状腺機能低下症といいます。その中でも最も発症頻度が高いとされているのが橋本病(慢性甲状腺炎)です。甲状腺を刺激するたんぱく質によって甲状腺が損傷し、ホルモンの分泌量が低下することで、身体の新陳代謝が不十分になる疾患です。徐脈、食欲不振、便秘、白髪、脱毛、月経異常、皮膚の乾燥、筋力低下といった身体的症状や、抑うつ感、無気力、記憶障害、認知症といった精神的症状がみられるようになります。いわゆる老化現象とよく似た症状があらわれるため、病気に気付かず適切な治療を受けられていない方が多くいらっしゃいます。
血液検査で甲状腺ホルモンにかかわる数値を調べるなどして診断し、治療に際しては、定期的に検査で数値を確認しながら不足している甲状腺ホルモンを補充する薬を内服します。
甲状腺腫瘍
甲状腺に部分的なしこり(甲状腺結節)ができることがあります。良性腫瘍、悪性腫瘍などに分類されますが、大部分は治療が必要ない良性腫瘍であり、また悪性腫瘍であっても多くは根治が期待できる疾患です。しこりが小さいときには自覚症状はほとんどありません。しこりが大きい場合には、喉の違和感、飲み込みにくい、息切れ、声がかれるといった症状があらわれることがあります。
実際に首にふれてしこりを探す触診や頸部超音波(エコー)検査などによって診断します。悪性腫瘍の治療は手術によって取り除くことが基本です。良性腫瘍については、経過を観察し、生活に支障がでる場合には手術などによる治療を検討します。