糖尿病とは

体内でエネルギー源として利用されるブドウ糖の血中濃度(血糖値)が高すぎる状態を高血糖と言います。糖尿病はこの高血糖が慢性的に続く病気です。

食物中の炭水化物はブドウ糖に分解され、腸から血液中に入ります。健康な人の体内では、こうして血糖値が上がると、すぐにすい臓からホルモンの一種であるインスリンが分泌されます。インスリンは、ブドウ糖をエネルギー源として細胞に取り込み、筋肉を動かしたり、脳を働かせたりできるようにする役割を担っています。インスリンによって速やかにブドウ糖が利用されることで血糖値も元の値に戻ります。

糖尿病では、インスリンが足りなくなったり、効きにくくなったりすることによって、血液中のブドウ糖が利用されずに残るため高血糖の状態が続きます。初期には自覚症状はほとんどありませんが、高血糖が動脈硬化を進行させて脳梗塞などの脳血管障害や心筋梗塞などの心疾患を引き起こします。また、細かい血管の血流が悪くなるため、「三大合併症」と呼ばれる神経障害、網膜症、腎症を引き起こすことも多く、足の壊疽、認知症、失明、透析など大きな障害につながります。これらの重篤な疾患が生じる前に、健康診断などの定期的な検査によって血糖値を確かめていく必要があります。

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糖尿病の検査

血液検査を行い、血糖値とHbA1cの数値を調べることで診断します。

①血糖値
早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上、もしくは75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値が200mg/dL以上、あるいは随時血糖値が200mg/dL以上
②HbA1c
6.5%以上

※①と②の両方ともに当てはまる場合、糖尿病と診断されます。また、①あるいは②のどちらかのみ該当とする場合は「糖尿病型」として再検査となりますが、再検査でもどちらかに該当すると糖尿病と診断されます。

糖尿病の治療

糖尿病は主に1型糖尿病と2型糖尿病に分けられます。1型糖尿病は、インスリンを分泌するすい臓の細胞が自己免疫疾患などによって壊れてしまい、インスリンが不足する病気です。生活習慣にかかわらず若い方を中心に幅広い年齢で発症します。インスリンを自己注射によって補うことで血糖値をコントロールしていきます。

一方の2型糖尿病は、遺伝的要因に生活習慣要因が加わることで発症するとされています。欧米人に比べて日本人はインスリンの分泌が少なく、遺伝的に糖尿病を発症しやすい人種だと言われています。糖尿病の親を持つ方も、糖尿病を発症する可能性が高くなります。このような遺伝的要因に、偏った食事や運動不足などの生活習慣要因が積み重なることで正常な血糖値を保つことが難しくなり、やがて糖尿病を発症します。
軽症であれば生活習慣の見直しによって血糖値をコントロールすることができます。また、肥満症・メタボリックシンドロームではインスリンが効きづらくなるため、無理のないペースで減量していくことが望ましいとされています。生活習慣の見直しだけでは効果が得られない場合には、薬による治療をおこないます。食事や運動に制限が生じる場合もありますので、医師の指導のもとで食事療法や運動療法を取り入れていきます。早期に適切な治療を開始することで、糖尿病の進行をおさえ、重篤な疾患や大きな障害を予防することができます。