• 2025年4月15日

甲状腺機能低下症(橋本病)

美しい髪を維持するために海藻をたくさん食べると良いと聞いたことがある方もいらっしゃるでしょうか。残念なことに、慢性甲状腺炎(橋本病)の場合は、逆に頭髪が硬くなったり、抜け毛が多くなったりする可能性があります。

「甲状腺機能低下症」は甲状腺の働きが低下する疾患で、日本では自己免疫疾患の「慢性甲状腺炎」が代表的です。日本の橋本策医師が発見したことから「橋本病」とも呼ばれます。

慢性甲状腺炎(橋本病)では、免疫機能が自分の甲状腺を標的にします。甲状腺を攻撃する自己抗体は、成人女性では10人に1人、成人男性では40人に1人の割合で見つかります。多くの場合、自覚症状はなく、甲状腺の機能も正常であるため治療の必要はありません。

しかし、甲状腺を攻撃する自己抗体を持つ人のうち、4人に1人程度、甲状腺機能の低下がみられます。甲状腺は、全身の細胞の働きを活発にするホルモンを分泌しています。その機能が低下すると、全身倦怠感、無気力、記憶力の低下、寒がり、便秘、肌の乾燥、脱毛、体重増加、月経過多などの症状があらわれます。老化、認知症、更年期障害、うつ病と誤診されやすい症状です。放置すると、意識障害、低体温、呼吸抑制、心不全を起こすこともあります。

甲状腺機能低下症は血液検査で判別できますが、通常の健康診断や血液検査の項目には含まれません。内分泌代謝科で定期的に検査し、甲状腺ホルモンを内服薬で補うことで通常の生活を送ることが可能になります。

ヨウ素の過剰摂取によって甲状腺機能低下症状があらわれることもあります。この場合は、ヨウ素を多く含む海藻類などを控えるだけで正常に戻ります。特に、昆布はヨウ素の含有量が非常に多く、控える必要があります。ひじき、わかめ、のり、寒天などは、毎日摂取しなければ問題ありません。

薄毛や脱毛が気になる方は、海藻をたくさん食べる前に他に症状がないか確認してみてくださいね。ぜひ医師にもご相談ください。

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