- 2025年4月11日
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
1840年にドイツ人医師のC. バセドウが、甲状腺腫、眼球突出および頻脈を特徴とする疾患を報告して以来、「甲状腺機能亢進症」はドイツ医学会を中心に「バセドウ病」と呼ばれています。
バセドウ病は自己免疫疾患の1つで、甲状腺を刺激し、ホルモンの産生分泌を亢進させる自己抗体が作られています。過剰となった甲状腺ホルモンによる代謝亢進症状として、やせの大食い、体温上昇、発汗などがみられます。また、交感神経刺激症状として、手指のふるえ、イライラ感、下痢などがあります。女性では、月経が軽くなったり、不順となったりすることもあります。
内科的治療では、抗甲状腺剤(メルカゾール、プロパジール)を内服します。白血球を減少させる副作用が300~400人に1人発症すると言われており、定期的に血液検査をする必要があります。内服後、1~2か月で、自他覚症状は軽快しますが、再発も多く、治療を自己判断で中断することは禁物です。他に、外科的手術と放射性ヨードによる内照射治療があります。有名人では、第43代アメリカ大統領G.ブッシュのお父さん(第41代大統領G. ブッシュ)が、大統領時代に放射性ヨード治療を受けています。
さて、「ハンバーガー甲状腺機能亢進症」「ハンバーガー甲状腺中毒症」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?ハンバーガーのひき肉の中に牛の甲状腺がまぎれ混み、食べた人が甲状腺機能亢進症状を呈したアメリカの事件です。日本でも、個人輸入のやせ薬やサプリメントに甲状腺ホルモンが入っている場合がありますのでくれぐれもご用心を。
薄着の季節になり、前頚部の腫れが気になった方は一度、内分泌代謝科を受診してみてください。
新城市商工会会報(2003年8月)に掲載の院長記事より