今回は甲状腺機能亢進症(バセドウ病)です。

1840年に、バセドウが甲状腺腫、眼球突出および頻脈(ひんみゃく)を特徴とする疾患を報告して以来ドイツ医学会ではバセドウ病と呼ばれています。

症状としては、他に、甲状腺ホルモンによる代謝亢進症状として、やせの大食い、体温上昇、発汗等、加えて交感神経刺激症状として、手指のふるえ、いらいら感、下痢等があります。女性では、月経が軽くなったり、不順となることがあります。バセドウ病も慢性甲状腺炎と同様、自己免疫疾患の1つです。バセドウ病では、甲状腺を刺激し、ホルモン産生分泌を亢進させる自己抗体が作られているのです。

治療としては、抗甲状腺剤(メルカゾール、プロパジール)の内服です。内科的治療では、白血球を減少させる副作用が、300〜400人に1人発症するといわれており、定期的に血液検査をする必要があります。内服後、1〜2か月で、自他覚症状は軽快しますが、再発も多く、治療を自己判断で中断することは禁物です。他に、外科的手術と放射性ヨードによる内照射治療があります。有名人では、米国のブッシュ大統領のお父さんが、大統領時代に、放射性ヨード治療を受けています。夏も本番となりましたが、前頚部の腫れが気になる人は一度、内分泌内科外来を受診してみて下さい。

さて、ハンバーガー甲状腺機能亢進症を御存知でしょうか?これは米国で、ハンバーガーのひき肉の中に、牛の甲状腺がまぎれ込み、食べた人が甲状腺機能亢進症状を呈した事件です。市販のやせ薬にも必ず、甲状腺ホルモンが入っていますので、くれぐれもご用心を。

米田内科 院長  米田 正弘
新城市商工会会報(2003年8月)より